カルパティア山脈は、ルーマニアの中央部に大きな弧を描いて連なり、この国で最もドラマチックな景観を見せてくれます。深い森、高い尾根、氷河湖、昔ながらの山村が揃い、ハイカー、ドライブ好き、写真愛好家、ご家族連れまで、誰にとっても魅力的な旅先です。
トランスファガラシャン道路 トランスファガラシャン道路(Transfăgărășan、国道DN7C)は、トランシルヴァニアとワラキアの間に位置するファガラシュ山脈(Făgăraș)を横断しています。1970年代初頭に建設され、ヘアピンカーブ、高架橋、頂上付近のトンネルを備えた、ヨーロッパでも屈指の壮大な山岳道路です。最高地点は標高約2,042メートルで、山小屋と滝を備えた氷河湖、ブレア湖(Bâlea)の近くにあります。この道路は雪のため、通常は晩秋から初夏まで閉鎖されますので、出発前に通行状況をご確認ください。
南側では、ヴィドララ・ダム(Vidraru)とその湖、そして約1,500段の階段を上って辿り着く廃墟の要塞、ポエナリ城塞(Poenari)に立ち寄ってみましょう。この城塞は、言い伝えでは串刺し公ヴラドと結びつけられています。ドライブと立ち寄りを含めて、丸一日を見込んでおくとよいでしょう。
そのほかの山岳道路と地域 トランスアルピナ(Transalpina、DN67C)も高地を走る道路で、ルーマニアでも有数の標高を誇ります。ブチェジ山脈(Bucegi)は、シナイア(Sinaia)やブシュテニ(Bușteni)からロープウェイで気軽にアクセスでき、奇岩と広大な高原で知られています。ブラショフ近郊のピアトラ・クライウルイ(Piatra Craiului)は、鋭い稜線を持つ石灰岩の尾根で、本格的なハイカーを惹きつけています。ルーマニア最古の国立公園であるレテザト国立公園(Retezat)には、国内最大の氷河湖ブクラ湖(Bucura)をはじめとする氷河湖が守られています。
野生動物 カルパティアの森には、ヒグマ、オオカミ、オオヤマネコが生息しており、ルーマニアはヨーロッパでも有数の規模のヒグマの個体群を擁しています。人通りの多い遊歩道で出会うことはまずありませんが、常識的な行動を心がけてください。野生動物には決して餌を与えず、食べ物はしっかり保管し、現地の助言に従いましょう。動物を安全に観察するには、地元ガイドと一緒に行くのが一番です。
おすすめの時期 6月から9月の夏が、ハイキングのメインシーズンです。秋は紅葉が美しく、道も静かになります。冬には、シナイア、プレデアル(Predeal)、ポイアナ・ブラショフ(Poiana Brașov)などのスキー場に姿を変えます。春は天候が変わりやすく、高所では雪が残ることもよくあります。国内最高峰はモルドヴェアヌ山(Moldoveanu)で、標高は2,544メートルです。
実用的なヒント 山の天気は急変するため、夏でも防水の衣類と重ね着できる服を持参してください。ハイキングは早めに出発しましょう。ルートを記録し、行き先を誰かに伝えておいてください。道幅が狭いところもあるので、慎重に運転し、時間に余裕を持ちましょう。山のゲストハウス(ペンシウニ、pensiuni)では家庭料理をいただけ、地元の暮らしに触れる心地よい方法です。
多くの旅行者にとって、カルパティアを越えるドライブは、ルーマニアが地図上の名前から、もう一度訪れたい場所へと変わる瞬間です。
